北海道の野山を歩く際必ず注意しなければいけないのは熊との遭遇です。
とはいっても、山菜取りなどでいつも山に入っていても、
今まで全く熊に遭遇したことのない方も大勢います。
私だって熊との遭遇率は1%も無いはずですし、
熊に会うこと自体、稀な事と考えて良いのかもしれません。
しかし、野山に行き100%に近い確立で会う危険生物がいます。
それはハチです。
ハチにも色々な種類がありますが、大きく分けて「花蜂」と「狩蜂」に分けられます。
花蜂というのは、ミツバチ、クマバチ(クマンバチ)ですね。
これらのハチのエサは殆んどが花の蜜です。
花蜂
野山では花から花へ飛び回っているのがよく見られます。
そして、このハチは一回度しか刺すことが出来ません。
ハチの針が矢尻状になっていて一度刺すと
抜けなくなってしまい、針を無理に抜くと、
ハチの内臓も一緒に外へ飛び出しハチは死んでしまいます。
ですから本当に 巣を守るときなどに限られますから、
こちらが何もしない限りは大丈夫。
ただし、彼らは甘い蜜を求めて飛び回っているわけで、ジュースを飲んでいたり
甘い匂いを放つ香水などをつけている女性に寄ってきます。
手で振り払ったりしてしまうとチクリと刺されてしまう事があるのでジッとしているか
静かにその場を離れるのが得策です。
クロマルハナバチ クマバチの一種です。狩蜂
アシナガバチ スズメバチなどがこれに当ります。
アシナガバチやトックリバチの仲間は地面や岩陰などに巣を作りますが、
簡単に言うと、人間のように家族単位で生活しています。
余程刺激しない限りは攻撃してこない種類です。
さて、問題はスズメバチの仲間です。
キイロスズメバチ色々な種類がありますが、
一見して分かりますよね。野山で出会う大きくて黄色いハチです。
危険な期間は5〜10月ですから、野山へ出かける期間殆んどがその期間です。
特に巣別れする8月末から10月はかなり危険で、
巣のそばへ近づいただけで襲われてしまいます。
狩蜂の毒針は注射針のようにツルンとしており何度でも刺すことが出来ます。
これは強力なアゴで獲物を捕らえて毒針を刺し、
獲物が麻痺した状態で巣に持ち帰り幼虫のエサとするためです。
実は私、このスズメバチを駆除する仕事をしていたことがあるんです。
私のいた会社では、当初ハチの駆除をしていなかったのですが、
いきなり会社より、「ハチの駆除、保健所の仕事からウチ(民間委託)になったから・・・。」
と言われ、少々パニックです。
野山でスズメバチに遭遇しても回避すればいいわけですが、
今度は、こちらから積極的に攻撃して巣を駆除するとは・・・
実際に襲ってきたらどんなだろう? 自分へ襲い掛かる何十匹というスズメバチ・・・
想像したくありませんでした。防護服を着て作業するにしても怖いです。
まずは色々な文献を調べて勉強しましたが、
机上の知識と実際とは少し違うところがありますから、
今回は駆除をする立場になって始めて分かった
野山でのスズメバチの忌避対策です。
よく「巣に近づかないと事」、と言われますが、
実際どこに巣があるかなんて野山では分かりません。
分かってたら、近づく訳ないですからね。
キイロスズメバチのアゴこちらが知らずに巣へ近づいていくと、スズメバチが自分のそばに来て羽音を大きく立て、それでもさらに近づくと目の前でアゴをガチガチ鳴らして警戒音を出します。
ここで来た道をゆっくり引き返せば事なきを得ますが、いきなり走って逃げたりすると
刺されることもあるのであくまでも静かにその場を離れましょう。
服装は明るい色が刺されずらいです。
特に白、メタリックなシルバー、(熊はスズメバチの天敵でハチ巣の中の幼虫を食べますから、黒い衣服を着ていると、人間を熊と間違って攻撃してくるらしい)
ハチの駆除で巣を丸ごと捕っている最中でも白い防護服を着ていると攻撃してこない場合も見られるくらいです。
しかし、そこから20m以上離れている黒い服の人間に襲い掛かることもありました。
私の場合は、駆除の現場写真撮影のため10mぐらいまで必ず近づきましたが、
その時の服装は、工場や塗装などで使われる白い紙製のフード付きツナギ服だけでした。
(最初は防護服だったのですが、全身白い衣服だと余程、巣に近づかない限り襲われないと経験上分かった為)
ですから、野山を歩く際には、「黒い部分を隠す」これが大切です。
白いタオルを頭に巻くだけで相当の効果が期待できますが、
ただ一つ隠せない黒い部分が目です。
目を閉じて歩くわけにも行きませんから、なるべく薄目を開けるぐらいにした方が良いようです。
もちろん、眉毛、まつ毛も黒で危険ですが・・・。
ハチは威嚇行動の最終段階としてお尻から毒液を噴射します。
その液が目に入ってしてしまうと、失明することもあるそうですから要注意。
幸い私自身にはその経験がありませんが、もしそうなった場合は、
安全な場所に避難してすぐ目を洗い、一刻も早く病院へ行きましょう。
刺し方も経験上二種類ありました。
一つ目は、飛びながら人の体にお尻を向けて、チョンと刺す場合。
この場合は毒の注入量があまり多くありません。
二つ目の刺し方は、人の体に止まり、アゴで噛みつき体を固定し何度も何度も刺す場合。
毒液の注入量もかなり多く大変危険な刺され方です。
以上 ハチについて触れてきましたが、
北海道では熊によって死傷する人は年に数人あるかないかですが、
ハチに刺されて死亡する人は後を絶ちません。くれぐれも注意しましょうね。
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