2012年12月14日

テントマットの話

キャンプでの安眠に必要な物といえば、シュラフとマットがあげられます。日常で言えば、布団がシュラフとマットになるわけで、安眠出来るかどうかの重要な役目を持つ道具です。そして今回は、マットのお話。

私が一番最初に使ったマットは、お風呂マットでした。当時は、現在ホームセンターで売られているような安物の銀ロールマットさえ無かったし、登山用マットは高価で買えませんでした。

そこで登山用品店に行った際にマットを触ってみたら、お風呂マットが一番素材的に近かったので、早速お風呂マットを購入してみた。お風呂マットは、素材が厚くて巻く事が出来なかったが、マットを見ると幾つかの層に分かれていて、その層にカッターを入れると、後は手で比較的容易に剥がす事が出来たんです。これで厚さ1cm強の立派なテントマットの完成です。

とはいえ、お風呂マットの全長が1m程度しかないから長さが足りません。なので、剥がしたもう一つのお風呂マットをガムテープで付けて180cm程の長さにして完成させました。実際に使っても全く不具合はなく、これはこれで良いマットであり、ほぼ3年間クタクタになるまで使った。その後、お金を貯めて(それほどでもないが)登山用のちゃんとしたマット(エンソライトマット)を購入したのでした。

これは夏(スリーシーズン)での事であり、マットの主目的は、床の凹凸をなくし、寝心地を良くする事です。そして、冬にキャンプするようになると、マットの寝心地よりもっと重要な事が出てきました。

それは、床面の断熱であります。

ちょっと冬キャンプする人なら当たり前でしょうが、当時、私の周りに雪の上でキャンプするような酔狂な人間なんぞいませんでしたから、この答を出すまでには結構な時間がかかりました。ちゃんとしたマットが無いと、シュラフがどんなに高性能でも背面はロフト(ふくらみ)が潰れてしまい、保温性を発揮する事ができず寒くて寝られたものではありません。

日常生活で言えば、シュラフは掛け布団でマットは敷布団になるわけです。自宅で数万、数十万円の最高級の羽毛布団を掛けても、床がフローリングやタイルでは寝られたものじゃありませんからね。同様に冬のテント泊でマットを敷かずに寝るという事は、氷の上で寝るのと同じです。これが夏場にフラットな地面で寝るなら良いでしょうが、冬では命の危険さえあるからマット選びは重要です。

そこで、どんなマットが冬のキャンプに良いのか?という事になります。当時はいろいろ経験して、これが良いとか悪いとかの結論を出してたが、今はありがたい事に、その指標となる断熱性能を表す数値があります。

それがR値 (熱抵抗値) といい、そのマットがどれだけ断熱するかを表す数値です。R値が大きければ、人体から床へ熱が逃げづらく、断熱材として優れているという事になります。そして、個人差はあれど冬山ならR値5.0程度(-18℃対応)が、大体の目安らしい。

さて、そのR値なる値を出す計算方法ですが、これ自体は中学程度(小学生でも出来るかな?)の数学(算数)ですが、素材の熱伝導率ってのが、物によりけりで分かりづらいんです。

           d(材料の厚さ)[m]
R値[m2・K/W]= -----------------------
           λ(熱伝導率)[W/m・K]

取りあえず、私の冬キャンプのマットで考えてみると・・・
床に敷き詰め用銀マット(90×180×2mm) と、メインのマットである、エンソライトマット(もしくはウレタン系サーマレスマット) + インフレータブルマットの3枚重ねって感じ。今は、100均で売られている銀マット((90×180×2mm)も、寝る場所以外のテント内での快適性に貢献しますから必要と考えてます。厚さ2mm程度のマットでは、R値なんて非常に僅かではありますが、テントのグランドシートのみと比べれば天と地ほどの差があります。

もちろんテントの床面と同じサイズの物ならベストだけど売ってないし、あっても高くて買えません。なにせ、2mm厚のマットですから、使い捨てとは言いませんが、耐久性がほとんどないのでお金を掛けたくありません。

R値は、銀マットの素材だと計算上0.2〜0.5程度(素材で違う)だそうです。0.3と仮定すれば、冬の快適R値である5.0にするには、16〜17枚重ねれば良いという事になります。確かにそれなら寝られそうです。(大喜利の座布団状態になるけどね)

次がシュラフの下に敷く、メインのウレタン系ロールマットとインフレータブルマットです。今は、断熱効果の高いエアマットもありますが、私はパンクが怖くてパンクしても何とか使えるインフレータブルマットと、仮にパンクしてもウレタン系ロールマットがあれば、なんとか寝られると思い2つ使っています。どちらも古いマットなのでR値がどのくらいかよく分かりませんが、現在市販されているマットと比較してみるとウレタン系サーマレスマットがR値3.0ぐらいで、インフレータブルマットがR値2.0ぐらいだから冬のキャンプ使用はクリアしてるという事になります。

ちなみにインフレータブルマットは、エアマットとウレタンマットの中間に位置し、空気を入れない状態でも、夏場なら凹凸の少ない場所では十分使えるし、コンパクト性、断熱性、そして15年経った今でも使える事を考えると、一番気がかりだった耐久性も備えており、価格以外は優等生なので、マットの主力なのかもしれません。

とまあ、いろいろ書いてしまいましたが、本心、R値は所詮理屈です。 経験して身に付いた知識や経験が一番だと思います。それに寒さに対しては、個人差ってものも大きくて、昔は一週間に一度ぐらいしか風呂に入らない私だったから、体の垢が天然のマットとして機能し、R値を上げてたのかも知れません。

posted by 黒ウサギ at 00:22| 北海道 ☔| Comment(8) | TrackBack(0) | 林道&ツーリング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする