場所は、ここなんだが、この森には想い出があるんです。
今から40年以上前、私が可愛い坊ちゃんだった頃、この界隈へは「絶対に行くな!」言われてました。
理由は簡単で、羆の巣窟だったから。

当時、そばを流れるハシノスベツ川がヤマメだらけの川だという事を大人から聞いていたので、親にはサランベ川へ行くと言って、こそっと自転車を漕いでハシノスベツ川上流へ(常丹の森付近)出かけた。
確かに釣れる釣れる、1つのポイントで最低2〜3匹、多いと5〜6匹は釣れました。

こんなに釣れると魚籠はすぐにいっぱいです。
名残惜しいが、あまりにも釣れ過ぎると怪しまれるから切り上げた。

帰りは、現在の八雲町育成牧場の西側の林道を自転車で帰ります。
当時は、完全なダートで現在みたいな舗装路ではありませんから、路面が荒れると自転車を押したりしてました。

すると、林道前方100mぐらい先に黒い塊が見えた。(当時の記憶だけど)
すぐに羆だと分かったが、遭ってしまえば後の祭りでどうしようもありません。
幸いな事に、羆は私に気づいてないようでイタドリを食べたり、カエデの木に爪を立てたりしていました。
おそらく風下だったんでしょう。
全く気付いてない様子でした。
私はそのまま硬直して動けません。
それからどのくらい時間が経過したか定かではありませんが、気持ちとしては1時間以上だったと思います。
その後、羆は東側の森へ立ち去った。
が、林道はピストンなので、今さっきまで羆の居た場所を通らないと帰れないんです。
もしかしたら、羆が隠れていて襲いかかって来るかも知れない・・・
見えなくなってもその場から動く事が出来ません。
それからどれくらい経ったか不明ですが、おそらく30分以上はその場にいたでしょう。
意を決して自転車に乗り、今まで出した事もないようなスピードでその場から立ち去ったのでした。
とまあ、こんな経験があったので、林道が全面舗装され遊歩道まで設置しているトコタンの森の変貌具合に驚くばかりです。
あの当時、この界隈をねぐらにしていた羆達は全部粛清されたのでしょう。
ここを訪れる度に、あの時の事を思い出してしまうのでした。
今は全然怖くない場所となったトコタンの森ですが、森の手前にある死亡獣畜処理場の看板にはドキリとさせられますがね。
