ホイストロープの試験3に引き続いての話だが、ホイストロープを使わずに、ハンドルブロックとラッシングベルトがTW引き揚げ作業のメインとなったので、題名を『バイクサルベージ』にしました。
しかも、今回がこのシリーズの最終回となり、私の持つ道具では一応の結論が出ました。
横津岳も初雪が降ったぐらいですから、ここ蛾眉野の紅葉も終盤であります。
さ〜て、TWのサルベージ作業を始めますか。
ほとんどの人には参考になりませんが、サルベージ方法を出来るだけ詳しくお話します。
TWには、フロントフォークにスリング(1.2m)を通し、これにカラビナを付けます。このスリングは、2.2トンに耐えられ、カラビナの方は、7トンに耐えると記されてる。経年変化で実際の強度は分かりませんが、バイクの重さ(全装備で130kg強)からすれば十分過ぎる強度でしょう。
ザイルを固定する側の木にもスリング(強度3トン)を付けて、これに8mmザイルを結びます。
お次は、実用強度120kgのラッシングベルト(5m)をザイルの途中に固定します。ザイルは18mあるので、最大18mの長さに対応出来るが、ラッシングベルトは5mしかないので、ザイルの途中に固定して強度を見るのも今回の目的です。
ザイルの途中にロープ(ラッシングベルト)を固定する方法は、ロリップという道具があると簡単ですが「ぶっち〜さん」に教えて頂いたプルージックという結び方でやってみました。
画像の赤いロープは5mmのパラシュートコードというロープで、これを結んでスリング(輪)にしてラッシングベルトに掛けました。パラシュートコードは、破断強度250kgだから理論上は大丈夫だが、やはり少し不安ですから、次回は2個掛けた方が安心でしょう。もし切れたら、コント「ユートピア」のゴムパッチンじゃ済みませんからね。カラビナでも飛ばして頭に当たったら大変な事になりかねませんので。
次にハンドルホイストをTWに付けて、8mmザイルをハンドルホイストに結びます。前回は、「引き解けもやい結び」にしたが、テンションが掛かると、その結び方でも解くのに時間がかかるという思わぬロスがありました。普通のもやい結びだと解くのに5〜10分という、とんでもないロスタイムです。こういう事は、やっぱり実際にやってみないと分かりません。
それで今度は、フックにグルグル5回ほど巻いて、フックの外で軽い引き解けゲンコツ結びをするだけ。これでも絶対解けないし、解くのもテンションがなくなれば一瞬。
これで前回と同じ方法の牽引をします。
今度はバッチリ・・・と思ったが・・・
前日の雨で土が緩み、スタンドコースターですら地面にめり込んでしまう。しかし、流石はスタンドコースター、TWが倒れるまで時間がかかるから、TWを押さえる事が出来ました。その後、添え木をしてOK。
TWの牽引で一番の障害が、このラッシングベルトの金具でした。ロックして巻き取り、フリーにしてベルトを解放する仕組みだが、金具が思うように動かずに全体で10分ぐらロスしました。これならロープを使ってジャッキ結びの方が良いと思った。まあ、金具がスムーズに動いてくれれば、TWから殆ど離れず作業が出来るのでラッシングベルトか。
ここで、どうしてホイストロープを使わなくなったかと言うと、このカラビナ部分が牽引する度、いろんな方向からの力が掛かるようで、ねじれるんです。ホイストロープっていう物は滑車ですから、ねじれればロープが絡んで全く力が伝わらなくなります。それをいちいち修正するのが一番の理由です。引っ張るのに力が要るとかの理由もあるが、力が必要といっても30kgぐらなので、思い切り引けば何とかなるが、その力を入れてる最中にねじれが来るからイラついて、使う気にならなくなったのです。これは垂直方向に引っ張るのが最良の使い方で、斜面というか斜め方向には適してないと思います。(私見)
ラッシングベルト可動不良対策として、小型プライヤーを使って無理矢理動かしたので、なんとか順調に作業が進み始めました。
ここに到着して約2時間後、作業終了しました。
牽引準備約15分 牽引作業1時間30分(牽引距離約5m) 撤収作業約15分です。
さらに慣れれば時間短縮できると思うけど、1時間で牽引できる距離は約3mという事が分かりました。で、自分でやって思うけど、一人だと、たったこれだけしかバイクを引っ張れません。他人事として思えば、たったこれしか引けないなら、自分の方がもっと引けると思うでしょう? でも、私これで一人バイク牽引4回目です。
机上の空論にならぬよう、実際に検証して良かったとつくづく思うとともに、これからも、バイクを崖に落して一人牽引なんて事にならぬようにと心に誓い、このシリーズ完。
2015年10月25日
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「実証が一番」という姿勢、恐れ入りました。
一連の記事を読んで私も試してみたくなりましたが、その気持ちをいつまで持ち続けることができるやら甚だ心許ない。どちらかというと机上でぐだぐだ考える方が得意ですから。
追伸
モーリン・オハラさんが亡くなりました(マーティ・マーの奥さん役の女優さん)。合掌
一人でバイクを引っ張り上げるシリーズもこれで終わりです。
今回いろいろやって思ったのが、同じ場所に数時間居るといろんな事も起きるって事でした。
リスがやってきたりヘビが通り過ぎたりと、飽きません。
モーリン・オハラさん 往年の名女優ですね。